Poesy of the Week_♡ 立棺

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わたしの屍体に手を触れるな
お前たちの手は
「死」に触れることができない
わたしの屍体は
群衆のなかにまじえて
雨にうたせよ
 
(後略)
         
                       <立棺 四千の日と夜から 田村隆一>

わたしの屍体を地に寝かすな
おまえたちの死は
地にやすむことができない

わたしの屍体は
立棺のなかにおさめて、
直立させよ

   地上にはわれわれの墓がない
   地上にはわれわれの屍体をいれる墓がない

わたしは地上の死を知っている
わたしは地上の死の意味を知っている
どこの国に行ってみても
おまえたちの死が墓にいれられたためしがない
河を流れて行く小娘の屍骸
射殺された小鳥の血そして虐殺された多くの声が
おまえたちの地上から追い出されて
おまえたちのように亡命者になるのだ

   地上にはわれわれの国がない
   地上にはわれわれの死に値する国がない

わたしは地上の価値を知っている
わたしは地上の失われた価値を知っている

どこの国に行ってみても
おまえたちの生が大いなるものに満たされたためしがない
未来の時まで刈りとられた麦
罠にかけられた獣たち  またちいさな姉妹が
おまえたちの生から追い出されて
おまえたちのように亡命者になるのだ

   地上にはわれわれの国がない
   地上にはわれわれの生に値する国がない
(後略)

IMG_7090.jpg 遺骨の墓地のモニュメント FXハルソノ
木箱、電子キャンドル、紙、写真
国立新美術館「Sunshower」

今週の日曜日、東京の六本木にある国立新美術館と森美術館、2館で同時開催されていた東南アジア現代美術「Sunshower」展に出かけてきました。
お昼をはさんで、10時から夕方6時まで、どの展示もアジアの近/現代史について考えされられるものが多くて、文字通り時間を忘れて楽しめました。

そのなかで、1998年にインドネシアで起こったジャカルタ大暴動で、殺された中華系住民を追悼するインスタレーションを見ていて、田村隆一の、この詩を思いだしました。

「立棺」というタイトルの詩語は、田村隆一の詩の非情な叙情性をあますところなく象徴していると思います。
戦争を経て、復員した田村隆一の脳裏にあったであろう様々な死のイメージが言葉として現われ出たとしか思えませんが、こういった状況は、現在の中東を巡るものともリンクして、現在も新しい「立棺」がおびただしく地上に置かれているのかもしれません。

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次回は7/28(金)です❤︎

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2 Comments

焼き鳥おうじ says..."(=゚ω゚)ノぃょぅ"
なんか、ちょっと怖い詩ですね。
でも、写真とマッチしているところは素直にすごいです。
平和な世の中が、世界中で花開くことを願っています。
ぐーたらしてたいから(できてないけど…)
2017.07.27 23:30 | URL | #- [edit]
Keity** says..."ありがとうございます。"
この頃に作られた詩は、戦争の体験をした方達が多かったので、今からするとちょっと怖い感じの言葉が並んでいるのかもしれないですね。
ほんとうに私もそう思います。戦争ってはじまったら当たり前ですけど、終わるまで続きますものね。

いつも訪問ありがとうございます。^-^
2017.07.28 16:08 | URL | #- [edit]

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