Poesy of the Week_♡ わがひとに与ふる哀歌

♡ わがひとに与ふる哀歌
   太陽は美しく輝き
   あるひは 太陽の美しく輝くことを希ひ
   手をかたくくみあはせ
   しづかに私たちは歩いて行つた

 <伊東静雄  わがひとに与ふる哀歌>
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(続き)
   かく誘ふものの何であらうとも
   私たちの内(うち)の
   誘はるる清らかさを私は信ずる
   無縁のひとはたとへ
   鳥々は恒(つね)に変らず鳴き
   草木の囁きは時をわかたずとするとも
   いま私たちは聴く
   私たちの意志の姿勢で
   それらの無辺な広大の讚歌を
 
   あゝ わがひと
   輝くこの日光の中に忍びこんでゐる
   音なき空虚を
   歴然と見わくる目の発明の
   何にならう
   如かない 人気(ひとけ)ない山に上(のぼ)り
   切に希はれた太陽をして
   殆ど死した湖の一面に遍照さするのに

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この詩はほんとうにすきでした。
「わがひとに与うる哀歌」というタイトルからして、もう詩の世界に入り込むことができますね。

この詩で、特徴的なのは、文語体と受身の言葉であるようにおもいます。
「誘わるる清らかさ」
「切に希はれた太陽」
という受身の言葉と凛とした能動の言葉
「いま私たちは聴く
   私たちの意志の姿勢で
   それらの無辺な広大の讚歌を」
が、心にしみました。

ただ現国の試験で「この詩のなかの”如かない”の読みと意味を答えなさい。」という問題が出たら「しかない」という読みは思い出せても、意味はわからなかっただろうと思います。
これは「〜にはおよばない」という意味ですが、「輝くこの日光の中に忍びこんでゐる/音なき空虚を/
歴然と見わくる目の発明」も「人気(ひとけ)ない山に上のぼり/切に希はれた太陽をして/殆ど死した湖の一面に遍照さするのに」には及ばないという意味だそうです。

鋭利な理性も恋をするときの情動にはかなわないということでしょうね。(笑)

IMG_0171のコピー 
次回は6/2(金)です。❤︎







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Comment

  • desultory
  • URL

百聞は一見に如かず、の如かずですね。
伊東静雄についてはうちのブログでも書きますよ。
こんな文学的な話ではないですが。

  • Keity**
  • URL

もしかして、映画を見て,ハッピーエンディングでないと怒ったというエピソードですか?詩人もそうですが、アート関係のひとって、矛盾の塊みたいなひともいますよね。(笑)
楽しみです。

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